大谷翔平が“世界一決定戦”の準決勝・決勝に先発登板できない理由 2001年コンフェデ杯の中田英寿を想起させる議論の行方
米大リーグ、エンゼルスのネビン監督は3月11日(日本時間12日)、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で準々決勝(16日)に先発した後の大谷の日程に言及し、24日(同25日)のパドレスとのオープン戦に投げ、中5日で既に決まっている開幕投手として30日(同31日)のアスレチックス戦に臨むプランを明かした。大谷は、WBCの準決勝、決勝に投手として登板しない。エンゼルスの指揮官によって、それが示された形だった。
もちろん、エンゼルスのミナシアンGMが事前に大谷の起用法について「制限はない」と話していたように、球団と大谷本人、日本代表チームの間で、さまざまなすり合わせがあった結果だろう。さらにその後、大谷自身が準決勝を前に、先発登板は否定した上で決勝での中継ぎ登板の可能性を示唆。エンゼルス側と相談して最終決定することを明かした。一連の流れから浮き彫りとなるのは、あくまで優先されるのは球団の意向であり、「3・30」=「エンゼルスの開幕戦」。メジャーリーグ所属の選手については、世界一を決める決勝の舞台での起用法すら所属球団に事前の了承を得る必要があるということだ。
これは、何も大谷に限った話ではない。関係者によると、各国代表としてWBCに出場中のメジャーリーガーが、所属球団の日程から逆算して、WBCでの登板日や投球数、打席数など起用法が決まるのは普通のことだという。メジャーリーガーでただ一人、2月の宮崎での代表合宿から参加し、調整を任されたダルビッシュは、極めて珍しいパターン。パドレスから破格の信頼を得ているからこその“超VIP待遇”といっていい。
MLBのレギュラーシーズンが優先される理由として、まず挙げられるのが、開幕直前に行われるという日程面の問題だ。年間数十億円を払って雇っている球団側としては、ここで疲弊し、ましてやけがでもされようものなら損害は計り知れない。前回の記事(https://victorysportsnews.com/articles/8488/original)では、MLBの事情が優先されるWBC主催者の“いびつな構造”を解説したが、選手の起用法にも、それは大きな影響を与えている。
実際に、次回大会への影響が懸念されるアクシデントも起こった。3月15日(同16日)の1次リーグ・ドミニカ共和国戦でプエルトリコのE・O・ディアスが抑えとして九回を無失点で締め、準々決勝進出を決めた直後、喜んで飛び跳ねた際に右膝を負傷。今季中の復帰が絶望的となる大けがを負った。5年総額1億200万ドル(約135億円)で契約するメッツにとって、あまりに大きな痛手。金銭面は保険により補償されるが、守護神の離脱に米国ではWBC参加の是非が議論されている。
そして、何より根底にあるのが大会自体の格付けの問題だ。世界一を懸け、国の代表としてWBCに臨む選手の招集や起用法が、所属球団の思惑、事情に左右される。五輪やW杯では通常あり得ない状況が、何より大会の“現在地”を表しているといえるだろう。たとえばサッカーでは、国際サッカー連盟(FIFA)がインターナショナルマッチカレンダーという各国代表による公式戦や国際親善試合を記載できる期間(国際Aマッチデー期間)を設け、W杯などその期間に行われる試合、大会では代表活動を優先しなければならないルールとなっている。
この国際Aマッチデーが2003年に設定される以前、かつてサッカーでもWBCに似た問題がクローズアップされたことがある。01年にW杯のプレ大会として日本で開催されたコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)だ。・・・
もちろん、エンゼルスのミナシアンGMが事前に大谷の起用法について「制限はない」と話していたように、球団と大谷本人、日本代表チームの間で、さまざまなすり合わせがあった結果だろう。さらにその後、大谷自身が準決勝を前に、先発登板は否定した上で決勝での中継ぎ登板の可能性を示唆。エンゼルス側と相談して最終決定することを明かした。一連の流れから浮き彫りとなるのは、あくまで優先されるのは球団の意向であり、「3・30」=「エンゼルスの開幕戦」。メジャーリーグ所属の選手については、世界一を決める決勝の舞台での起用法すら所属球団に事前の了承を得る必要があるということだ。
これは、何も大谷に限った話ではない。関係者によると、各国代表としてWBCに出場中のメジャーリーガーが、所属球団の日程から逆算して、WBCでの登板日や投球数、打席数など起用法が決まるのは普通のことだという。メジャーリーガーでただ一人、2月の宮崎での代表合宿から参加し、調整を任されたダルビッシュは、極めて珍しいパターン。パドレスから破格の信頼を得ているからこその“超VIP待遇”といっていい。
MLBのレギュラーシーズンが優先される理由として、まず挙げられるのが、開幕直前に行われるという日程面の問題だ。年間数十億円を払って雇っている球団側としては、ここで疲弊し、ましてやけがでもされようものなら損害は計り知れない。前回の記事(https://victorysportsnews.com/articles/8488/original)では、MLBの事情が優先されるWBC主催者の“いびつな構造”を解説したが、選手の起用法にも、それは大きな影響を与えている。
実際に、次回大会への影響が懸念されるアクシデントも起こった。3月15日(同16日)の1次リーグ・ドミニカ共和国戦でプエルトリコのE・O・ディアスが抑えとして九回を無失点で締め、準々決勝進出を決めた直後、喜んで飛び跳ねた際に右膝を負傷。今季中の復帰が絶望的となる大けがを負った。5年総額1億200万ドル(約135億円)で契約するメッツにとって、あまりに大きな痛手。金銭面は保険により補償されるが、守護神の離脱に米国ではWBC参加の是非が議論されている。
そして、何より根底にあるのが大会自体の格付けの問題だ。世界一を懸け、国の代表としてWBCに臨む選手の招集や起用法が、所属球団の思惑、事情に左右される。五輪やW杯では通常あり得ない状況が、何より大会の“現在地”を表しているといえるだろう。たとえばサッカーでは、国際サッカー連盟(FIFA)がインターナショナルマッチカレンダーという各国代表による公式戦や国際親善試合を記載できる期間(国際Aマッチデー期間)を設け、W杯などその期間に行われる試合、大会では代表活動を優先しなければならないルールとなっている。
この国際Aマッチデーが2003年に設定される以前、かつてサッカーでもWBCに似た問題がクローズアップされたことがある。01年にW杯のプレ大会として日本で開催されたコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)だ。・・・
<関連する記事>
大谷翔平が“世界一決定戦”の準決勝・決勝に先発登板できない理由 2001年コンフェデ杯の中田英寿を想起させる議論の行方 米大リーグ、エンゼルスのネビン監督は3月11日(日本時間12日)、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で準々決勝(16日)に先発した後の大… (出典:VICTORY) |
コメント