【巨人】２年連続Ｂクラス…８月に不協和音の序章　場が凍った「ペットボトル叩きつけ事件」 : スポーツの鑑　まとめNEWS

2年連続でセ・リーグのBクラスに沈んだ原辰徳監督（65）率いた巨人。来季までの契約を残して引責辞任し、阿部慎之助新監督（44）のもとで再出発を図る。3年ぶりのV奪回を目指しながらも、CS出場も果たせなかった舞台裏では何が起きていたのか…。第1回は「ペットボトル事件」編だ。　

【巨人2年連続Bクラスの裏（1）】波に乗れないチームを象徴する「事件」が起こったのは、シーズンも終盤に近づく8月の東京ドームでの試合だった。ふがいない敗戦後、怒り心頭のままグラウンドからベンチ裏の選手サロンに戻ったコーチの1人が、持っていたペットボトルを怒りに任せて床に叩きつけた。

　まだ中身の入っていたペットボトルは大きな音を立てると、ケータリングの配膳をしていた女性スタッフの近くへ転がった。試合後の選手への食事の用意をしていたなかでの突然の事態にスタッフは悲鳴を上げ、顔面蒼白になったという。

　女性スタッフは球団が雇用しているわけではなく「株式会社東京ドーム」の従業員。2021年1月に三井不動産が東京ドームをTOBで子会社化し、巨人の親会社である読売新聞グループ本社が20％を出資している。それでも外部の人間に対する〝暴挙〟に後日、球団側が東京ドーム側に謝罪する事態となった。

　当のコーチもそこまで大ごとになるとは思っていなかっただろう。敗戦の怒りをぶつけただけで、女性スタッフに恐怖を与える意図はなかった。球団内からも「勝負に熱くなっただけ。よくあること」と擁護する声もあったが、この「ペットボトル事件」にナインもあきれ顔だったという。

　別の球団スタッフは「コーチが自分の感情をコントロールできないのに、冷静に選手の指導をできるわけがない」と斬り捨てた。

　こんな状況でチームが一枚岩になれるはずもない。追い打ちをかけるように8月後半に再びチームをアクシデントが襲う。体調不良により、坂本、岡本和、中田翔ら主力の〝離脱ドミノ〟が起こった。

　終わってみれば、個人では自己最多41本塁打で岡本和が2年ぶりセ本塁打王、正捕手・大城の16本塁打もキャリアハイ。投手でも若きエース・戸郷が自己最多タイの12勝、3年目・山崎伊が自己最多の10勝をマークするなど奮闘する選手はいたものの、原監督が「野球は1人じゃ勝てないよね。みんなの力を集結させてということが大事」と話したように、最後までチーム一丸となることはなかった。

　コーチ人事は「全権監督」である原監督の専権事項でもあった。不協和音を生んだ選手サロンでの〝惨事〟は指揮官が任期途中で責任を取るひとつの遠因にもなったという。こうした出来事の積み重ねが勝負どころの最終盤、チームの雰囲気を徐々に損なっていった。